AI導入の商談や記事、社内の会話では、聞き慣れない専門用語が次々に出てきます。本記事は、経営者が会話や発注の初期段階でつまずかないために知っておきたい基本の20語を直接定義しました。実務でよく使われる20語をあらかじめ整理しておくことで、商談の論点やベンダーからの提案内容を把握しやすくなります。分からない言葉が出たら、まずこのページで確認してください。各語について、一文の定義と実務上の注意点をセットで説明します。
20語の早見表
まず全体を一覧で押さえたい方向けの早見表です。詳しい定義は次の章から解説します。
| 用語 | ひとこと定義 | よく出る場面 |
|---|---|---|
| 生成AI | 学習データから文章や画像を作り出すAI | AI導入の入り口となる説明 |
| LLM(大規模言語モデル) | 大規模な文章データで学習した言語モデル | ChatGPTの仕組みの説明 |
| ChatGPT | OpenAI社が提供する対話型の生成AI | AI活用の最初の体験 |
| AIエージェント | 設定された目標に向け複数の作業を自律的に進めるAI | 業務自動化の提案 |
| RAG | 外部資料などを検索して回答生成に活用する技術 | 社内情報検索の相談 |
| プロンプト | AIへの指示・質問として入力する文章 | AI活用の基本操作の説明 |
| ハルシネーション | AIが誤情報を事実のように生成する現象 | AI活用のリスク説明 |
| ファインチューニング | AIモデルに追加データを学習させる手法 | 専門特化AIの提案 |
| API連携 | 異なるソフト同士を自動でつなぐ仕組み | 既存システムとの連携相談 |
| AI-OCR | 書類や画像の文字をAIで読み取る技術 | 請求書・伝票のデジタル化 |
| チャットボット | 利用者の質問に自動で応答するプログラム | 問い合わせ対応の自動化提案 |
| 機械学習 | データから規則を自ら学び取る技術全般 | AI技術の前提知識の説明 |
| ディープラーニング | 多層のニューラルネットで学習する手法 | AI技術の前提知識の説明 |
| DX | デジタル技術で事業や業務を変革すること | 経営会議・中期計画の議論 |
| PoC(概念実証) | 小規模に試して効果を事前に確かめる検証 | AI導入の試験的な実施 |
| AI駆動開発 | 生成AIを前提に要件整理から運用まで進める手法 | システム開発の見積相談 |
| FDE(フォワードデプロイドエンジニア) | 現場に深く入り込み定着まで担う技術者 | AI導入支援会社の説明 |
| FDE型AI導入支援 | FDEが企業に伴走するAI導入支援の形態 | AI導入支援会社の説明 |
| AIガバナンス | AI利用のリスクを管理する体制や運用方針 | AI活用ルール整備の相談 |
| ノーコード | コードを書かずに開発するツール・手法 | 内製化・開発体制の相談 |
基礎のことば
まずAIの話に必ず出てくる3語です。
生成AI
生成AIとは、文章・画像・音声・動画などを、学習したデータのパターンをもとに新しく作り出すAIの総称です。
文章作成、画像生成、議事録の要約など幅広い業務で使われます。もっともらしい出力でも誤りを含むことがあるため、金額や固有名詞など重要な情報は人が確認してから使う運用が前提になります。ChatGPTなどの対話サービスは、生成AIを利用者向けに提供する製品の一つです。
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LLM(大規模言語モデル)
LLM(大規模言語モデル)とは、大量の文章データを学習し、文脈に応じて自然な文章を生成できるAIの仕組みのことです。
ChatGPTをはじめとする多くの生成AIサービスは、このLLMを土台に作られています。学習した言語の統計的なパターンをもとに、文脈に続く言語単位(トークン)を予測して文章を組み立てる仕組みです。モデル自体の文章生成処理と、製品側でWeb検索などを組み合わせて事実を確認する機能は別物である点に注意が必要です。
ChatGPT
ChatGPTとは、米OpenAI社が提供する、対話形式で使える生成AIサービスの代表的な製品です。
文章の作成・要約・翻訳・アイデア出しなど、幅広い用途に無料・有料プランで利用できます。多くの企業がAI活用の入り口として最初に触れるサービスですが、同種の対話型AIサービスは他社からも提供されており、ChatGPTはその一例という位置づけです。
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仕組みのことば
生成AIが何をしていて、何が得意で何が苦手なのかに関わる5語です。
AIエージェント
AIエージェントとは、与えられた目的に向けて、複数の作業工程を自律的に判断・実行するAIの仕組みです。
文章や画像などのコンテンツを出力する生成AI技術を活用しつつ、情報収集・外部ツールの呼び出し・結果の確認といった一連の処理を自律的に進めます。ただし無限に動き続けるわけではなく、設定された権限・終了条件・人間の承認ステップの範囲内で動作します。実務では、AIに委ねる権限と人が承認・判断する責任分界を明確に設計することが重要です。
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RAG
RAG(検索拡張生成)とは、AIが回答を生成する際に関連する外部資料や社内文書を検索し、その検索結果を参照して回答を組み立てる仕組みのことです。
プロンプトに手動で社内文書を貼り付けて質問することも可能ですが、RAGを導入すると大量のデータから必要な情報を自動で検索してAIに渡せるようになります。参照元の事実に基づいた回答を引き出しやすくする技術ですが、検索データの鮮度管理や参照漏れ、解釈ミスもあり得るため、回答内容の検証や権限設計が前提となります。
プロンプト
プロンプトとは、望む答えを引き出すために、AIに対して入力する指示や質問の文章そのものを指す言葉です。
同じAIでも、プロンプトの設計次第で出力の質は大きく変わります。むやみに長文にするのではなく、達成したい目的、前提条件、望む出力形式を明確に伝えることが有効です。社内で有効なプロンプトをテンプレート化しておくと、担当者ごとの出力品質のばらつきを抑える助けになります。
ハルシネーション
ハルシネーションとは、AIが事実に基づかない情報をもっともらしい文章として生成してしまう現象のことです。
確率的な言語予測というLLMの特性に起因して生じる誤生成を指します(システム実装のバグや外部データ連携の不備によるエラーとは区別されます)。モデル単体で完全にゼロにすることは困難なため、出典の確認体制やプロンプトによる制約、RAGの活用などを組み合わせた運用設計が欠かせません。
関連記事: 中小企業のAI導入 失敗パターン7選・議事録のAI活用
ファインチューニング
ファインチューニングとは、既存の学習済みモデルに目的別のデータを追加学習させ、特定のタスクや文体への出力傾向を適応させる手法です。
特定の文体や専門業務の応答スタイルに合わせる用途に適しています。一方で、日々変化する社内情報を確実に記憶させたり社内ルールの遵守を保証したりする手段ではない点に留意が必要です。データ準備や計算コストもかかるため、まずはプロンプト調整やRAGを検証し、それでも満たせない要件がある場合に検討するのが一般的です。
用語を押さえたうえで「自社のどの業務から手をつけるか」を決めたい場合は、無料のAI自動化診断で業務を客観的に整理する方法もあります。
技術と活用のことば
実務でAIを使うとき、またはベンダーから技術の説明を受けるときによく出てくる5語です。
API連携
API(Application Programming Interface)連携とは、異なるソフトウエア同士を接続し、プログラム経由でデータを自動的にやり取りする仕組みです。
会計ソフトと販売管理システム、チャットツールと生成AIなど、手作業での転記を自動化する目的で広く使われます。実現には接続先サービスで利用を許可されたAPIが提供されている必要があり、公開状況だけでなく対応機能、アクセス権限、呼び出し上限や利用料金の確認が導入の前提となります。
関連記事: 経理業務のAI活用・kintoneの限界はどこか
AI-OCR
AI-OCRとは、紙の書類や画像から文字を読み取る従来のOCR(光学的文字認識)に機械学習技術を組み合わせ、認識精度を高めた手法です。
定型フォーマットの帳票では高い精度が期待できます。手書きの伝票や様式が統一されていない請求書にも対応できる場合がありますが、読み取り精度は書類の状態や字の癖に左右され、無条件で100%の正確性が担保されるわけではありません。手書き・かすれ・非定型のレイアウトほど誤りが出やすいため、金額など重要な項目は読み取り結果を人が確認する運用を必ず組み合わせてください。
チャットボット
チャットボットとは、利用者からの質問や問い合わせに、いつでも自動で受け答えする対話形式のプログラムです。
あらかじめ設定した分岐条件に沿って回答する「シナリオ型」と、LLMなどを活用して柔軟に応答を組み立てる「生成AI活用型」があり、それぞれ得意とする業務や保守の要件が異なります。問い合わせ対応の一次窓口として使われることが多く、人による対応へ引き継ぐエスカレーション基準の設計が運用の鍵になります。
関連記事: 営業のAI活用
機械学習
機械学習とは、データからパターンや規則性を、人が細かく教えずコンピューター自身が学び取る技術の総称です。
人があらかじめ細かいルールを書く従来のプログラムとは異なり、大量のデータを与えることで判断基準を自動的に作り出す点が特徴です。生成AIも、この機械学習という大きな枠組みに含まれる技術の一つという位置づけです。ベンダーの説明資料にもよく登場する基本用語です。
ディープラーニング
ディープラーニングとは、人間の脳の神経回路の仕組みを模した多層構造を用いる、機械学習の代表的な手法です。
層を重ねることで、画像や文章のような複雑なデータからも特徴を捉えられるようになった技術で、現在の生成AIやLLMの多くはこの仕組みを土台にしています。専門的な技術用語ですが、AIサービスの説明資料に頻出するため、意味だけ押さえておくと理解の助けになります。
導入・支援のことば
AIを組織に導入し、社内に定着させる場面で出てくる7語です。
DX
DXとは、デジタル技術を使って、業務のやり方や事業のあり方そのものを変革する取り組みのことです。
既存の業務を電子化するだけの「デジタル化」と混同されがちですが、DXはその先にある、業務プロセスや事業の競争力そのものを見直す取り組みを指します。ツールを一つ導入して終わりではなく、導入後に業務の進め方をどう変えるかまで含めて検討する必要があります。
関連記事: 中小企業のAI導入 完全ガイド
PoC(概念実証)
PoC(Proof of Concept:概念実証)とは、本格的な導入に進む前に、技術的な実現可能性や想定した仮説が成り立つかを小規模に検証する試みです。
全社展開する前に一部の業務で検証を行うことで、投資判断に必要な材料を限定的なリスクで集められます。ただし、PoCは事業成果を確定させる段階ではなく、仮説検証の段階である点に留意が必要です。検証を繰り返すだけで本格導入の判断が下せない状態を避けるためにも、事前に検証目的と判断基準(合否ライン)を合意しておくことが重要です。
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AI駆動開発
AI駆動開発とは、生成AIの活用を前提として、要件整理から設計・実装・テストまでの開発工程を効率化しながら進める手法のことです。
コード生成やテストの自動化により開発期間や工数を抑えられる可能性がある一方、要件定義や生成されたコードのレビュー、最終的な品質担保にはエンジニアの専門的知見が引き続き必要です。なお、AIを開発に使うことと、完成したシステムを共有SaaSで使うか専用環境で運用するかというシステム構成の判断は別の論点です。構成の選択肢については業務システムは共有型か専用型かで確認できます。
関連記事: AI駆動開発とは?メリットやデメリット、開発方法まで完全解説!
FDE(フォワードデプロイドエンジニア)
FDE(Forward Deployed Engineer)とは、仕様書通りの納品だけを目的とするのではなく、顧客の現場近くに入り込み課題の特定から実装・運用定着までを伴走しながら前に進めるエンジニアのことです。
決められた要件を遠隔で開発して引き渡す形態と異なり、事業開発やコンサルタントなどとも協働しながら、現場の運用制約や承認フロー、データ環境を直接把握して解決策を設計・実装します(必ずしも全工程を1人が専任するわけではなく、チームで役割分担しながら現場に伴走する体制も含みます)。「作って終わり」にせず、業務の中で実際に利用され成果につながる状態を目指す点が役割の特徴です。ただし無制限の成果保証を意味するわけではなく、プロジェクトごとに合意された目標と期間に沿って推進されます。開発経験を活かして本番導入や安定運用まで担う実務へ進む際は、エンジニアからFDEを目指すにはを参考に補うべき領域を点検します。
関連記事: FDEとは?従来のエンジニアとの違いや業務内容まで完全解説!
FDE型AI導入支援
FDE型AI導入支援とは、ツールの導入や固定的な納品にとどまらず、FDEが組織に伴走しながらAI活用を推進する支援形態です。
FDEという役割自体は特定の契約形態(請負や準委任など)を排他的に規定するものではなく、現場の課題に深く入り込んで実装と定着を担う伴走姿勢を指します。要件が固定しきれない初期段階から、課題の洗い出し、プロトタイプの実装、現場運用フローの構築までを一体となって進めます。社内にAI人材が不足している企業や、実運用に合わせた柔軟な調整が必要な場面で選択されます(具体的な支援範囲や定着・内製化の対応内容は各提供会社の契約条件により異なります)。
関連記事: 中小企業向けFDEサービス|株式会社Walkers
AIガバナンス
AIガバナンスとは、AIの利活用に伴うリスクを管理し、適切な運用を確保するための組織体制・ルール・評価運用の枠組みのことです。
個人情報や機密情報の取り扱い基準だけでなく、責任体制の明確化、出力結果の検証手順、監査やログ管理、定期的な運用見直しまでを含みます。担当者個人の判断任せにせず組織としての統制を敷くことで、事故の防止と円滑な利活用の両立を図ります。自社で形にするときは、禁止事項の列挙にとどまらず生成AIの社内ルールから検収手順を整えるのが実務的です。
AIをどこで止め、誰が承認したかを記録に残す設計の実例は、事例集の〈CASE 08|AIが止まるべき場所を、署名で残す〉で確認できます。
ノーコード
ノーコードとは、プログラムのコードを書かずに、部品を組み合わせてシステムやアプリを作る開発手法のことです。
画面のパーツや処理の流れを画面上で組み立てるため、エンジニアがいない企業でも業務アプリや簡易なWebサイトを内製しやすくなります。一方で、複雑な処理や大規模なシステムには向かない場合があり、要件が膨らんだ段階で外部の開発力を借りる判断が必要になることがあります。
関連記事: AI導入はどこから始める?・Bubbleで作ったシステムの移行ガイド
よくある質問
この20語をすべて覚える必要がありますか?
全部を暗記する必要はありません。まずは「生成AI」「LLM」「PoC」など頻出度の高い言葉を押さえておけば会話にはついていけます。残りは、実際に出てきた場面でこのページを見返せば十分です。
生成AIとAIエージェントの違いは何ですか?
生成AIは文章や画像などを生み出す技術そのものを指し、AIエージェントは与えられた目的に向けて複数の処理やツールの活用を自律的に進める仕組みを指します。生成AIを組み込んだエージェントも多く存在します。実務では、AIに委ねる権限と人が承認・介入する境界(責任分界)をあらかじめ定めておくことが重要です。
AI駆動開発とノーコードは何が違いますか?
ノーコードが「何を使って作るか」という道具や手段の話であるのに対し、AI駆動開発は生成AIを前提に「どう工程を進めるか」という進め方の話です。部品を組むノーコードは内製しやすい一方、複雑な処理に向かない場合もあり、両者の併用も考えられます。
ベンダーの説明が専門用語だらけで分からないときはどうすればよいですか?
分からない用語が出た時点で説明を止めてもらい、平易な言葉への言い換えを求めてください。用語を使ったまま話を進めるベンダーより、かみ砕いて説明できるベンダーの方が、導入後の意思疎通で困りにくくなります。
用語の意味さえ分かれば、AI導入は成功しますか?
用語の理解は商談や検討を円滑に進めるための前提条件にすぎません。実際の導入では、どの業務課題に適用するかの見極めや、現場の運用フロー・社内ルールの整備、責任分界の設計など実務上の判断が重要になります。業務の選び方も参考にしてください。
自社のどの業務からAI化すべきかを知りたい方は、無料のAI自動化診断をご利用ください。自社の業務に合わせたシステムをAI駆動開発で作る場合の相談・見積りは、株式会社Walkersのシステム開発事業で受け付けています。運営会社の株式会社Walkersは、FDE型AI導入支援を通じて中小企業のAI活用を支援しています。
参考
執筆時点(2026年9月)に公開されていた情報に基づきます。以下の各URLの取得日は 2026-09-10 です。
- IPA(情報処理推進機構)「DX推進指標のご案内」: https://www.ipa.go.jp/digital/dx-suishin/about.html
- 経済産業省・総務省「AI事業者ガイドライン(第1.0版)」(2024年4月19日報道発表): https://www.meti.go.jp/press/2024/04/20240419004/20240419004.html
- FDEとは?従来のエンジニアとの違いや業務内容まで完全解説!|AI駆動開発 総合研究所
- AI駆動開発とは?メリットやデメリット、開発方法まで完全解説!|AI駆動開発 総合研究所
- 中小企業向けFDEサービス|株式会社Walkers
