2026年7月開始のMicrosoft 365値上げ|法人が契約更新前に確認する6点

2026年7月開始のMicrosoft 365値上げ|法人が契約更新前に確認する6点

Microsoft 365の商用スイートは、改定対象プランについて2026年7月1日以降に迎える最初の契約更新から新価格が順次適用されています(発表は2025年12月4日)。改定対象のうち7月1日以降に最初の更新を迎えた契約はすでに新価格へ移行しており、7月1日以降の初回更新をまだ迎えていない契約は次回の更新時に新価格が適用されます。そのため法人がまず確認すべきは、改定率そのものよりも自社の「契約プラン(SKU)」と「2026年7月1日以降の初回更新ステータス」です。本記事では、各社の公式発表に基づく料金改定年表と、更新に向けて確認すべき6項目を解説します。

目次

Microsoft 365・Salesforceの料金改定年表【公式発表ベース】

以下は、各社の公式発表やサポートページで本文を確認できた改定内容を、公式資料に記載された数値のまま整理した年表です(取得日:2026年9月9日)。なお、SKU(Stock Keeping Unit)とは契約する製品プランや構成を識別する最小単位を指します。

企業・製品 発表日 適用日 対象 改定内容
Salesforce 2025-06-17 2025-08-01 Sales Cloud・Service Cloud・Field Service・一部Industries CloudsのEnterprise Edition・Unlimited Edition リスト価格を平均6%引き上げ(個別エディションで改定率は異なる)。Foundations・Starter・Pro Editionは対象外
Microsoft(日本法人向け・為替要因) 2022-11-02 2023-04-01 法人向けライセンス・サービス 日本円の為替変動に伴い、オンプレミス製品を20%、オンラインサービスを15%引き上げ。新価格は2023年4月以降の契約更新・新規契約に適用。ハードウェア(Surface等)とコンシューマ向け製品は対象外
Microsoft(日本法人向け・為替要因) 2023-12-06 2024-04-01 法人向けソフトウエア・クラウドサービス 日本円の為替変動に伴い、一律20%引き上げ。2024年4月以降に適用。ハードウェア(Surface等)とコンシューマ向け製品は対象外
Microsoft 365(グローバル商用スイート) 2025-12-04 2026-07-01 Microsoft 365 Enterprise・Business・Frontline等の商用スイートおよび一部単体コンポーネント(Teams単体・Copilot単体は対象外) セキュリティ・管理機能の追加とあわせてリスト価格を改定(例: Microsoft 365 E3が月額36ドルから39ドルで公式発表表記は8%増、Business Standardが12.50ドルから14ドルで12%増。いずれもTeamsを含むSKUの米ドル建て価格)。既存契約は2026年7月1日以降の最初の更新時から新価格が適用

表中の「リスト価格」は各社が公表する標準定価であり、実際の請求額は契約ごとのボリュームディスカウントや販売代理店(リセラー)の条件によって異なります。「エディション」は機能別の等級、「単体コンポーネント」はセットに含めず単体契約する製品を指します。また、Microsoft 365の公表値はTeamsを含むSKUの米ドル建て定価です。公式FAQにおいて地域ごとの市場調整を行う方針が明記されているため、日本円での実際の請求額は公表ドル額の単純な為替換算とは一致しません。

Microsoft 365の2026年7月改定は自社の契約にどう影響するか

自社契約におけるMicrosoft 365価格改定への対応判定フロー
  • ステップ1 契約プラン(SKU)の確認 利用中のプランが改定対象(M365 E3/E5、Business Standard等)か、対象外・据置(Business Premium、E1等)かを確認。
  • 改定対象外・据置プランの場合 定価改定の影響なし 今回のグローバル定価改定による単価増はありません。為替や代理店条件の変更がないかのみ確認します。
  • 改定対象プランで、2026年7月1日以降の初回更新を通過済み 新価格適用済み(請求明細の確認) すでに新価格へ移行しています。直近の請求書で実際の適用単価を確認し、差額×人数で月次影響額を確定します。
  • 改定対象プランで、2026年7月1日以降の初回更新が未到来 旧価格維持中(次回更新の見積確認) 2026年7月1日以降の初回更新日までは旧価格が維持されます。更新日および解約・変更申出期限を確認し、代理店から新価格の見積を取り寄せます。
  • 影響試算と対策の検討 増加額の試算とプラン・契約の見直し (新単価−旧単価)×利用人数×適用月数で影響額を試算し、休眠アカウント削減や下位プランへの変更可否を検討します。

契約形態(リセラー経由、年契約月払いなど)により実際の請求額や更新条件が異なるため、確定数値は契約窓口へご確認ください。

今回の価格改定による自社への影響を把握するには、契約更新状況、契約SKU、請求条件の順に確認します。

1. 契約更新状況の確認:改定の基準日は2026年7月1日です。改定対象プランのうち、すでに2026年7月1日以降の最初の更新日を迎えた契約は新価格が適用されているため、直近の請求明細で改定後の実額を確認します。一方、2026年7月1日以降の最初の更新日をまだ迎えていない契約は、その初回更新を迎えるまで旧価格が維持されるため、更新時の見積内容を確認する準備を進めます。

2. 契約プラン(SKU)の確認:利用中の製品が改定対象かを確認します。今回の改定ではMicrosoft 365 E3/E5やBusiness Standardなどが対象となる一方、Microsoft 365 Business PremiumやOffice 365 E1のように定価が据え置かれたプランや、単体Teams・単体Copilotのように対象外のSKUもあります。

3. 請求通貨と窓口の確認:公表値は米ドル建てのグローバル定価です。地域ごとの市場調整が入るほか、リセラー経由の間接販売ではリセラー独自の為替レートや提供価格が適用されるため、日本円の最終請求額は契約窓口から提示される更新見積書で確認する必要があります。

SaaSの値上げはなぜ起きるのか — 為替・リスト価格・機能追加・プラン統合の4類型

料金改定にはいくつかの型があり、どれか1つだけが原因とは限りません。ただし、すべての製品が一律に上がるわけではありません。

  • ドル建て価格と為替の連動: 米ドルで基準価格を設定し、為替レートに合わせて現地通貨建て価格を見直す構造です。日本マイクロソフトは2023年12月の価格改定発表時、為替変動を考慮した定期的な価格評価の一環として現地価格を調整する場合があると説明しました(※当時の発表内容であり、将来の運用周期を保証するものではありません)
  • リスト価格そのものの改定: Salesforceの2025年8月改定のように、定価表の水準そのものを引き上げる型です。対象エディションは公表されますが、次回の改定時期までは予告されないのが一般的です
  • 機能追加を伴うパッケージ改定: Microsoft 365の2026年7月改定のように、セキュリティ機能やAI機能の標準バンドルに伴い価格が改定される型です。自社で利用しない機能が含まれている場合、実質的なコスト増につながることがあります
  • プラン統合・従量課金への移行: アドオンの統合や従量課金の導入による改定です。Salesforceは2025年6月の発表において、従来のEinsteinアドオン等をAgentforce体系へ再編し、利用量に応じた課金枠(Flex Credits)を導入する方針を示しました。契約形態が変わるため、定価の引き上げ率だけでは影響を測れません

いずれの型であっても、自社が契約しているSKU・エディションと、次回更新日および解約・変更の申出期限を正確に把握しておくことが影響を見極める前提となります。

法人が契約更新日までに確認する6点【チェックリスト】

値上げの発表に驚かないための確認項目です。契約しているSaaSごとに、次の6点を埋めてみてください。

確認する項目 確認内容と担当窓口
契約期間と更新・申出期限 契約期間(1年・3年等)と次回更新日、および自動更新を防ぐ変更・解約の申出期限(30日前など)を契約書や管理画面で確認する【契約管理担当】
支払頻度と請求通貨 月払いか年払いか(※月払いでも1年契約の場合あり)、請求通貨が日本円か米ドルかを確認する【経理担当】
アカウント数と実稼働の棚卸し 契約ライセンス数と退職者・休眠者を除いた実際の利用人数を突合する。詳しい進め方はSaaS費用の棚卸し実務を参照【システム管理者】
プラン・構成の適合性 改定後の機能追加が必要か、不要な機能のために上位プランやTeams含有SKUを維持していないかを確認する【利用部門・IT担当】
代替手段・ダウングレードの可否 価格据置プランへの変更や、他社ツールへの切り替えが現実的に可能か評価する【IT担当】
自社固有業務の切り離し余地 汎用SaaS上で無理に作り込んでいる業務について、部分的な内製化や専用化が検討できるか整理する【業務企画・開発担当】

改定による年間増加額(影響額)を試算する際は、単に年間総費用を計算するのではなく、同一利用人数を前提とした「(改定後単価 − 改定前単価)× 課金アカウント数 × 改定適用月数」で算出します。年度途中に更新を迎える場合は旧価格期間と新価格期間を月数で按分し、為替変動や割引率の変更、ライセンス人数の見直しによる増減は別要因として切り分けて計算します。

自社の契約状況を客観的に整理したい場合は、無料のAI自動化診断も選択肢です。

値上げ時でも残すべきSaaSと見直しの判断基準

値上げが発表されたからといって、利用中のSaaSを一律に解約・置き換えるのは合理的ではありません。例えば電子帳簿保存法やインボイス制度のように頻繁な法改正への追従が必要な会計・給与SaaSは、自社開発で法改正に追従するコストや保守体制の負担が大きくなるため、SaaSを継続利用する判断が妥当になりやすい領域です。「残すSaaS」と「置き換えを検討するSaaS」を見極める基準については、会計ソフトは乗り換えるべきかで判断の軸を解説しています。

AI駆動開発で作り替えると、何がどう変わるか

AI駆動開発とは、生成AIを活用して要件定義から実装・テストまでを効率化する開発手法です。業務のすべてではなく、自社固有の業務フローやSaaSの枠に収まらない一部の機能を専用システムとして構築する場合、ライセンス単価×アカウント数というSaaS特有の課金構造から切り離す選択肢が生まれます。ただし、専用環境であってもクラウドインフラ費用やAIモデルのAPI利用料、継続的な保守改修費用は発生するため、インフラや保守費用の変動リスクを考慮した比較が必要です(共有型と専用型の比較は業務システムは共有型か専用型かを参照)。

開発体制の選択肢の一つとして、専任エンジニアが業務の分解から実装・定着まで伴走する「FDE型伴走支援」などの形態があります(FDE型AI導入支援とは)。進め方は、業務を棚卸ししたうえで最小限の実用製品(MVP)を構築して検証する段階的なアプローチが基本です。受託開発会社に依頼する場合の初期開発費用は機能要件や実装規模によって変動するため、自社の要件に応じた見積もりの精査が必要です(費用の考え方は開発費用の相場解説参照)。SaaSベンダー側の価格改定に直接左右されない一方、システムの保守運用や改修費用は自社で責任を持って計画する必要があります。

手作業の巡回・転記業務を自社専用の仕組みで自動化した構成例は、事例集の〈CASE 02|毎日の巡回・転記を、AIが引き取る〉で確認できます。

よくある質問

SaaSの値上げにはどう対応すればよいですか?

契約更新日・通貨・アカウント数を先に把握し、値上げ発表後に慌てないことが基本です。個別交渉の余地があるかは契約窓口に確認してください。

為替を理由にした値上げと、機能追加を理由にした値上げは何が違いますか?

為替要因は現地通貨建て価格を米ドル水準に近づける調整、機能追加型は新機能とセットで単価が上がる改定です。対応の考え方が異なります。

値上げを機にSaaSを乗り換えるべきですか?

値上げそのものは乗り換えの十分条件ではありません。代替手段の有無や移行コストとあわせて判断する必要があります。

アカウント数と料金の棚卸しは何から始めればよいですか?

契約しているSaaSを1枚の台帳に洗い出すのが最初の一歩です。詳しい手順はSaaS費用の棚卸し実務にまとめています。

販売代理店(リセラー)経由の契約でも改定内容は同じですか?

リセラー経由の間接販売では、実際の提供価格や請求通貨がリセラー側の設定によって異なる場合があります。自社の契約で改定がどう適用されるかは、契約窓口となっているリセラーに確認してください。

「SaaS is dead」という言説の背景は「SaaS is dead」とは何か、大規模SaaSの総保有コストの考え方はSalesforceの5年総コストはいくらか、SaaSを解約する際の実務は脱SaaSのよくある質問20、残す・置き換えの見極め基準は会計ソフトは乗り換えるべきかで扱っています。業務ごとに「どこまで残すか」を決める判断基準は、CRM・勤怠・請求・在庫の各記事にまとめています。

自社のどの業務からAI化すべきかを知りたい方は、無料のAI自動化診断をご利用ください。自社の業務に合わせたシステムをAI駆動開発で作る場合の相談・見積りは、株式会社Walkersのシステム開発事業で受け付けています。本記事は、FDE型のAI導入支援を行う株式会社Walkersが運営しています。

参考

SaaSの料金改定は随時行われるため、最新情報は各社公式サイトでご確認ください。以下は執筆時点(2026年9月9日)に本文を確認できた公式発表・公式サポートページです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次
閉じる