Salesforceが高いと感じたら|5年総コストの考え方と10名・20名・50名の試算

Salesforceが高いと感じたら|5年総コストの考え方と10名・20名・50名の試算

Salesforceが高いと感じたときは、課金対象の契約人数と実際の利用人数の差、実際に使う機能の範囲、有償アドオンの要否の3点をまず確かめます。単価は公開されているため、契約単価×契約人数×60か月で5年分のライセンス費用を自社で試算できます。高いかどうかを感覚だけで判断せず、自社の条件で計算することが見直しの出発点になります。本記事では公式単価や10名・20名・50名のライセンス費用試算、ライセンス以外にかかる4項目の費用を整理します。

目次

Salesforce(Sales Cloud)の料金はいくらか【2026年9月時点】

本記事は、Salesforceの主要製品であるSales Cloud(営業支援・CRM)の料金を対象とします。Service Cloud等の他製品には別の料金体系があります。Sales CloudにはFree Suiteを含む次の6区分があり、単価は公式サイトに次のとおり掲載されています(2026年9月10日確認)。

エディション 単価(1ユーザー/月) 契約形態
Free Suite 0円 —
Starter Suite 3,000円 月払いまたは年払い
Pro Suite 12,000円 年間契約
Core 23,400円 年間契約
Advanced 47,400円 年間契約
Max 66,000円 年間契約

公式サイトの価格表ではCore・Advanced・Maxの名称が使われていますが、同じページ下部のよくある質問では従来のEnterprise・Unlimited・Agentforce 1 Salesという名称も併記されています(2026年9月10日確認)。公式FAQには「Salesforce製品のほとんどは年間契約」と明記されており、支払い方法の詳細は営業担当者への確認が必要です。上記の価格には税込・税抜の表記も最低契約ユーザー数の記載もなく(2026年9月10日時点)、公式サイトには「価格は変更されることがある」との注記もあります。

5年総コストはどう計算するか

総コストの土台になるライセンス費用は、次の式で計算できます。

ライセンス費用(60か月試算)= 1ユーザーあたりの月額単価 × 契約人数 × 60

※年間契約を結び、期間中に単価・契約人数の変動がないと仮定した場合の単純計算です。実際の支払頻度や契約更新時の条件によって支払額の推移は異なります。

ただし、これだけが総コストではありません。実際の総コストは、次の5項目に分解できます。

  1. ライセンス費用(上の式で計算可能。単価は公式サイトに公開)
  2. 導入・初期設定費用(要件整理、データ移行、画面・項目のカスタマイズ等)
  3. 運用管理の工数(ユーザー管理、権限設定、レポート保守等の社内人件費)
  4. 連携・追加ツール費用(他システムとの連携開発、有償アドオン)
  5. 教育・定着費用(利用者研修、マニュアル整備、問い合わせ対応)

このうちライセンス費用は単価が公表されているため計算できますが、2〜5は一部の有償アドオンを除いて総額が定額で示されているわけではなく、企業ごとに幅が大きいため個別試算が必要です。次章のモデルケースはライセンス費用のみの試算であり、実際の総コストはこれに2〜5を足した金額になります。

10名・20名・50名における5年間のSalesforceライセンス費用試算

総コストの確定額ではなく、公開単価に基づくライセンス費用のみのモデルケースとして、次の前提で試算します。

  • エディション: Pro Suite(12,000円/ユーザー/月)とCore(23,400円/ユーザー/月)の2パターン
  • 人数: 10名・20名・50名
  • 期間: 60か月(5年)、年払い、単価は契約期間中固定と仮定
  • 税: 表示額をそのまま計算に使用(税込・税抜の別記載なし。実際は消費税が別途発生する可能性)
  • 含まないもの: 導入・初期設定、運用管理、連携・追加ツール、教育・定着の費用(前章の2〜5。別途)
  • 値上げ・オプション追加は考慮しない単純計算

Pro Suite(12,000円/ユーザー/月)

ユーザー数 月額 1年 3年 5年(60か月)
10名 120,000円 1,440,000円 4,320,000円 7,200,000円
20名 240,000円 2,880,000円 8,640,000円 14,400,000円
50名 600,000円 7,200,000円 21,600,000円 36,000,000円

Core(23,400円/ユーザー/月)

ユーザー数 月額 1年 3年 5年(60か月)
10名 234,000円 2,808,000円 8,424,000円 14,040,000円
20名 468,000円 5,616,000円 16,848,000円 28,080,000円
50名 1,170,000円 14,040,000円 42,120,000円 70,200,000円

50名・5年のライセンス費用だけで比べると、Pro Suiteは3,600万円、Coreは7,020万円です。ユーザー単価に比例するため、人数が増えるほど金額の差額は大きくなります(両プランの価格比率は約1.95倍で一定です)。参考までに、有料区分の中で最も単価の低いStarter Suiteで10名・5年なら180万円、最上位のMaxで50名・5年なら1億9,800万円です。自社の契約人数とエディション単価を前章の式に当てはめれば、同じ方法で計算できます。

ライセンス以外にかかる費用は何か(導入・運用管理・連携・教育)

ライセンス費用以外の4項目は、一部の有償アドオンを除いて公式サイトに総額の記載がないため、自社の要件や体制に応じて別途見積る必要があります。

項目 内容の例 公表価格 扱い方
導入・初期設定 要件整理、既存データの移行、画面・項目のカスタマイズ なし(案件ごとに異なる) 導入パートナーやSalesforce営業担当者に別途見積りを依頼する
運用管理の工数 ユーザー管理、権限設定、レポート・ダッシュボードの保守 なし 自社の管理者工数(時間×人件費)で置き換えて試算する
連携・追加ツール 会計・請求システム等との連携開発、有償アドオンの追加 一部あり(アドオン単体のみ) アドオンは公式単価を確認し、連携開発費は別途見積る
教育・定着 利用者研修、マニュアル整備、問い合わせ対応 なし 自社の教育工数、または外部研修費用で見積る

有償アドオンの一例として、公式サイトにはAgentforce for Sales(15,000円〜/ユーザー/月)、Revenue Intelligence(26,400円/ユーザー/月)、Partner Relationship Management(1,200円〜/ユーザー/月)が掲載されています(2026年9月10日確認)。契約プランに含まれない機能を追加する場合、ライセンス費用とは別にこうした費用が積み上がります。

Salesforceの料金改定や値上げにどう備えるか

前述した5年間のモデルケースは、契約期間中の単価が変わらない前提で算出した単純計算です。

しかし公式サイトには価格変更に関する注記があり、公式FAQでもSalesforce製品のほとんどは年間契約である旨が紹介されています。仮に利用単価が見直された場合、中長期のコスト計画も再試算が求められます。

価格に関する情報が出た際は、改定の動向に過剰に反応するのではなく、影響の度合いを測るために自社の契約更新日と対象条件を冷静に確かめる姿勢が欠かせません。具体的には次の3点を押さえます。

  • 年間契約の満了に伴う自社の次回更新日
  • 自社が利用中のエディションが改定対象に含まれるか
  • 更新後の新たな5年試算を行うか、現行計画の残り期間について「旧単価の適用月数+新単価の適用月数」で再計算すること

過去の改定経緯や具体的な影響範囲については、SaaS値上げの事実と対策で詳しく整理しています。

契約書を開いてすぐに確認できる3つの見直し点

料金の負担を感じた際は、契約書や管理画面を見ながら、自社で使いきれていない契約内容を洗い出す作業から着手します。具体的には、契約人数と実利用人数の差、利用機能の範囲、有償アドオンの要否の3点を確認していきます。

1点目の確認事項は、契約人数と実利用人数の差です。管理画面を照合し、退職や異動に伴って使われないまま残っているIDを探します。該当する人数が判明すれば、公式単価と期間を掛けて参考額を算出できます。ただし年間契約では途中でライセンス削減ができない場合があるため、次回到来する更新日や減員可否の契約条項の確認が必要です。

次に、契約プランで提供される機能の利用範囲です。上位エディションを契約していても、基本機能しか使っていないケースがあります。

そして有償アドオンの要否です。基本プラン外の追加機能は別個に費用が加算されるため、業務上の必然性を再点検します。

これらは契約書と設定画面で把握できます。詳しい手順はSaaS費用の棚卸し実務にまとめています。契約の実態を把握したうえで、現行環境を維持すべきか自社システムを視野に入れるかの判断へ進みます。

Salesforceを使い続けるのが合理的な会社、自社システムが向く会社

ライセンス費用以外にも工数がかかる以上、Salesforceが合っている会社と、自社の業務に合わせたシステムを検討する価値がある会社は分かれます。

観点 Salesforceが合理的になりやすい 自社システムを検討する価値が出やすい
営業プロセス 標準的な営業プロセスを、大人数の営業組織で回している 自社の商流・稟議フローが独自で、標準機能に当てはめにくい
利用機能の範囲 契約プランの機能を広く使い、AppExchangeで外部連携も追加している 契約している機能のうち、実際に使っているのは一部に限られる
ユーザー数と用途 ユーザー数が多く、全員が同じ機能を共通利用している ユーザー数は多いが、用途は特定の業務に限定されている
ガバナンス・連携要件 監査・セキュリティ・グローバル対応など、ベンダーの継続アップデートに価値がある 外部システムとの連携の作り込みが多く、汎用機能で吸収しきれない

左側に近い会社は、ライセンス費用を払い続けてもベンダーの継続的な機能向上やセキュリティ対応に価値があります。右側の特徴が見られる場合でも、直ちに全面内製へ切り替えるのではなく、下位エディションへの変更、他社CRM SaaSの検討、一部業務のツール連携など、複数の選択肢を比較検討することが現実的です。また、自社システムを構築する場合は、自社側で担う保守・障害対応やセキュリティガバナンスの体制が確保できるかも重要な判断基準になります。自社の業務適性を整理したい場合は、無料のAI自動化診断も選択肢の一つです。業務システムは共有型か専用型かで運用の負担と費用構造を確かめておく必要があります。

AI駆動開発で内製した場合、費用の構造はどう変わるか

AI駆動開発とは、生成AIをツールとして要件整理から実装・テストまで活用する開発手法です。自社に合わせたシステムを構築する場合、費用の発生構造はSaaSのライセンス課金とは異なります。SaaSのライセンス費用が契約人数に応じて継続的に積み上がるのに対し、個別開発では初期の構築費用が発生し、以降は保守運用費やインフラ費が中心となります。

一般的な開発費用感として、AI駆動開発費用の相場まとめでは、小規模・一般的なWebアプリや業務アプリを受託開発する場合の初期費用目安を、最低限の機能で50万〜100万円、基本的な機能で100万〜200万円、複雑な機能で200万〜300万円、非常に複雑な機能で300万円以上とし、運用費用の目安を月1万〜5万円としています(2026年9月8日確認)。ただし、これは一般的な受託開発アプリの目安であり、Salesforceと同等のCRM全機能やセキュリティ水準をそのまま置き換える費用ではありません。既存データの移行、外部API利用料、サーバー・クラウド費用、社内の管理工数なども考慮が必要です。

したがって、「Salesforceのライセンス総額」と「開発会社の初期・保守費用」を単純比較して損益分岐点とみなすことはできません。比較する際は、対象とする機能範囲、利用人数、移行コスト、クラウドインフラ費、社内運用工数、セキュリティ要件などの前提を揃えたうえで、総コスト同士を試算することが欠かせません。個別開発の概算を確認したい場合は、AI・ノーコード開発費用見積もりシミュレーターで10個の質問に答えると目安がわかります。費用の構造はこの章で扱い、体制や進め方の違いは次章で整理します。

実装コストより上流の設計と評価に重心が移るという前提は、事例集の39事例から抽出した5領域9原則にも整理しています。

AI駆動開発で作り替えると、何がどう変わるか

汎用のSaaS CRMから自社専用システムを検討する場合、開発手法(AI駆動開発など)、実施体制(完全内製か外部支援か)、システム構成(専用環境か共有基盤か)を分けて捉える必要があります。自社専用に開発したシステムであれば、設計次第で契約ユーザー数単位の月額ライセンス課金とは異なる費用構造を組むことが可能です。

外部パートナーを活用する場合の体制例として、FDE(Forward Deployed Engineer:顧客の業務現場に入り込み、課題整理から実装・運用定着までを一貫して担うエンジニア)が伴走する支援形態があります(FDE型AI導入支援とは)。進め方は、営業プロセスの棚卸しを行い、MVP(Minimum Viable Product:実務で検証可能な最小限のプロダクト)として最初の1業務から小さく構築し、順次拡張していく手順が一般的です。なお、外部の支援形態としては初期費用と保守費用を分ける一般的な受託開発のほか、月額制で伴走する形態(WalkersのFDE型伴走支援であれば月額50万〜100万円税別など)もあります。保守や改修の工数が支援範囲に含まれるか別料金となるかは契約形態によって異なるため、想定する体制に合わせて費用構造を確認することが重要です。

一方、標準的な営業プロセスをそのまま適用でき、AppExchange(Salesforce公式のビジネスアプリ連携マーケットプレイス)による外部連携や、ベンダーによる継続的な監査・セキュリティ更新に価値がある場合は、無理に作り替える必要はありません。

なお、チャット上のやり取りからタスクや起票へ連携する仕組みの技術的な検証例は、事例集の〈CASE 07|チャットで決めたことを、正式な仕事にする〉(実装・検証段階の事例)で確認できます(※商談用途全般やSalesforce代替としての本番稼働実績を示すものではありません)。

よくある質問

Salesforceの5年総コストは、結局いくらになりますか?

単価×契約人数×60か月のライセンス費用に、導入・運用管理・連携・教育の費用を足して計算します。たとえばCoreを20名で5年間利用すると仮定した場合、ライセンス費用だけで2,808万円の試算になります。

Sales Cloudのどのエディションを基準に計算すればいいですか?

自社が契約中、または検討しているエディションの単価を使ってください。本記事の価格表と試算表の式に、自社の人数を当てはめれば計算できます。

Salesforceが高いと感じたら、何を見直せばいいですか?

契約人数と実際の利用人数の差、契約プランのうち実際に使っている機能の範囲、有償アドオンの要否から確認してください。使う機能が一部に限られる場合は内製も選択肢です。

AI駆動開発で自社開発すれば、必ず安くなりますか?

断定はできません。ライセンス費用だけでなく、開発初期費用、保守運用費、インフラ費、社内運用工数を含めた総コスト同士を、自社の機能要件や人数条件で比較する必要があります。

Salesforceのランニングコストには何が含まれますか?

継続的な費用としてライセンス費用のほか、社内の運用管理工数、連携や追加ツールの利用料、教育や定着に関わる費用が含まれます。一方で、初期設定や要件定義などの導入費用は初期に一度発生するものであり、継続費用とは区別して管理します。

SaaS費用の考え方を横断的に整理する場合は親記事の「SaaS is dead」とは何か、契約中の全SaaSの棚卸し手順はSaaS費用の棚卸し実務、解約・データ移行等の個別論点は脱SaaSのよくある質問20をご覧ください。総コストではなく「残すか作り替えるか」の判断基準から入りたい場合はSalesforce・HubSpotのどこを内製するか、会計・給与SaaSを残す理由は会計ソフトは乗り換えるべきか、単価そのものが上がる料金改定への備えはSaaS値上げの事実と対策で扱っています。営業支援ツールの使われ方は営業業務でのAI活用、ノーコードの費用構造との比較はkintone・Bubble・Power Appsの費用はいくら積み上がるかで解説しています。

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参考

執筆時点(Salesforceの価格は2026年9月10日、その他は2026年9月8日確認)の各公式サイトの公開情報に基づきます。価格は変更される場合があるため、最新情報は公式サイトでご確認ください。なお、2026年9月21日にSales Cloudの公式価格ページを改めて確認した際も、本記事に掲載している単価表との相違はありませんでした。

2026年9月10日時点の公式ページでは、Sales Cloudのエディション構成がCore・Advanced・Maxに変更されており、本記事の価格表と試算は同日の表示に基づいています(本記事の初出時点では、Enterprise・Unlimited・Agentforce 1 Salesという名称と単価を掲載していました)。なおSaaS値上げの事実と対策で扱っている2025年8月1日のEnterprise・Unlimitedの値上げは、当時のエディション名で公表された過去の事実であり、現在のエディション構成と矛盾するものではありません。

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